ケーススタディ •  2022/02/04

水稲のウンカ対策に。即効性・残効性に優れる育苗箱用殺虫成分ピラキサルト™

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2020年に山口県を襲ったトビイロウンカの大発生。県内で坪枯れが多発する中、防府市の水稲農家である岡本拓実さんは、『ピラキサルト』が入った育苗箱処理剤を使用することで被害を最小限に抑えることができました。ウンカ対策における予防的防除の重要性と併せて、殺虫成分『ピラキサルト』の効能をご紹介します。

 

【プロフィール】

・岡本拓実さん

・山口県防府市

・約24haの農地でコシヒカリや飼料米、WCSなどを生産。2020年2月に集落営農法人連合体「株式会社ファーム大道」を設立。

2020年に山口県全域を襲ったウンカ被害

 

防府市は気候が温暖で古くから稲作が行われてきたエリアですが、ここでも担い手の高齢化やリタイアなどによる課題は持ち上がっています。私は近隣の水田を引き受けて規模拡大を進める中で、地域の農業の維持発展に対してこれまで以上の責任を感じたことから、法人化を決意しました。

現在は約24haの水田でコシヒカリ、日本晴、飼料米、WCS(ホールクロップサイレージ)などを栽培し、冬季には麦作も行っています。今後、農地の集積が進むことが予測されることから、機械を導入した大規模経営も検討しています。耕作面積が増えるのは農業経営にとってチャンスだと捉え、60haを目標に拡大していきたいと考えています。

農業経営の安定化において課題の一つとなるのが病害虫の効率的な防除です。2020年は、山口県全域でウンカが大発生し、かつてないほどの被害を受けました。

ウンカとは、6〜7月の梅雨時期に大陸からジェット気流に乗って飛来し、イネに寄生する害虫です。大量に発生するとイネが円形状にまとまって枯れる「坪枯れ」の被害が広がり、収量に大きな影響を与えます。ウンカが毎年飛来する九州では育苗箱処理剤でしっかりウンカ対策をすることが慣行となっていますが、これまで大きな被害に遭ったことのない地域では、ウンカに対する防除意識がそれほど高くありませんでした。山口県もまさにその状況だったため、2020年はこれまでにないウンカの大発生により県内全域で坪枯れが多発、甚大な被害をもたらしました。

ウンカ被害から水田を守ったピラキサルト

この時、私の水田では育苗箱処理剤としてピラキサルト含有製品を使用していたことで、ウンカ被害を最小限に抑えることができました。ピラキサルトを使用したきっかけは、『新しいものを紹介されたので試しに使ってみた』というのが本音なのですが、田植えが済んだ後に突如ウンカ警報が出されたのでびっくり。育苗期の防除が不十分だったり、本田防除が間に合わなかった水田ではあっという間に坪枯れが広がり、全滅に近い状況の水田もあったほどです。もちろん、私のところでも被害はありましたが、それは前年から残っていた製品を使った水田でした。

坪枯れの様子

ピラキサルトの一番のメリットは、優れた防除効果が長続きすることです。従来の育苗箱処理剤の残効性は2カ月程度とされていたのに対して、ウンカの発生状況など条件によって違いはありますが、ピラキサルトは最大約90日。田植え前の6月に使用すれば、9月に入ってもウンカから守ってくれます。育苗箱に撒くだけなので手軽だし、本田散布まで少しで も⻑く効く剤を取り入れた方が安心につながります。既存の殺虫剤に抵抗性を獲得したウンカにも効果があるので、ありがたいですね。

ウンカはイネの株元につくため、防除は育苗期に行うことが基本です。発生が確認された後に本田散布するケースもありますが、イネが成長すると薬剤が株元に届かなくなるため、できるだけ早い対応が求められます。とはいえ、本田散布を行うにはオペレーターの手配や薬剤の追加購入など準備に時間がかかるため、必ずしもタイミング良く散布できる訳ではありません。

残念ながら、ウンカがいつどこで大発生するかは予測することができません。被害を防ぐためには、効果が実証されている新しい製品をきちんと使用し、保険のように備えておくことが重要だと思います。

農業は自然相手の仕事なので難しい面もありますが、防除体系をしっかり考え、農業が安定収入を得られる仕事となるよう頑張って行きたいですね。

【取材協力】

山口県防府市 岡本拓実さん